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Goodfellas House Choose One!

ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです...

Klute: コールガール
主演   シルヴィア・クリステル
監督 フランシス・ジャコベッティ
音楽

フランシス・レイ

Killing Fields, The
拝啓 エマニエルさん江
 

あなたが突然パリのアパートから姿を消してからボクの時間は止まったままです。
もうすぐ高校受験だというのに机に向かってもため息ばかり。
寝ても覚めても学校でもあなたのあの姿がボクを支配しています。
あの柔らかそうな髪、トロンとした目、コリスのフーセンガム色のポワンとした唇。
そして暗記した方程式を全て崩壊させるそのオチチ!
ああ、ボクはこれからどうして生きていけばいいのですか?

最近、あなたが突然、引っ越したのはボクのあなたにした数々のワイルド・シングのせいだと思えるようになりました。
そうです、あなたのアパートで何回もピンポン・ダッシュをしました。
無言電話も何度もしました。
あなたの自転車のサドルも盗みました。
留守中、ベランダに入り、あなたのランジェリーを盗みました(数々の色鮮やかなランジェリー・コレクションは、ちょっとしたコレクターズ・アイテムです!)。
許してください。
ここに告白をしましたので許してくれますよね?
どうか電話で「高校受験、ガンバッてね!」って言ってもらえませんか?
ボクのお願いなのです。
心からの叫びを最後に記します…

今でもボクはエマニエルさんの…

飴・硬貨・鰤(ぶり)・月・鯛(たい)

 
近所の(チェリー)中学生より
 
 
 …アイツ、まだこんなサイテーな手紙を送ってくるなんて信じられないわ!
 それに航空便書留扱いで!料金が高いじゃないの。
 そんなお金があったらお菓子でも買えばいいのに!
 あらなんでワタシがあんなヤツの心配をしてるのかしら。
 ワタシは今、外交官の夫の新たな赴任先の香港にいるの。
 そう香港
 Hong Kongと書いてホンコン。
 ホング・コングじゃないわよ。
 

 中学の時、英語の先生に
 「先生、King Kongはキング・コングと発音するのにHong Kongは何故、ホンコンと発音するのですか?」
 と聞いたら先生、
 「…さあ、くだらない質問は無視して授業を再開しましょうか!」
 だって!
 もー今、思い出しても腹がたつわねえ。
 それに香港っていったら憧れのブルース・リージミー・ウォング様の国じゃない!
 街を歩けばそんな…なぁに、みんなヤン・スエリチャード・ンみたいなブ男ばっかり!

 
 そいでまーたもや毎晩、無言電話の連続攻撃!
 昨日も
 「アロー、もしもし」
 「…」
 「ねえ、もうヤメテよ」
 「…」
 「ねえ何がいいたいの?」
 「…」
 「誰だか分かってるのよ!」
 「…」
 「おい、テメエ、オンナをイジメて嬉しいのか?どうせオンナにまともに声もかけれないくせに!それでこんなイタズラ電話か!サイテーな野郎だな!どーせいつもオンナの後を着けまわしてジトーっとして眼つきでXXXしてるんだろうが!おい、このナメクジ野郎!」
 (これで懲りたわよね!)
 「…もっともっと!罵ってくださいぃぃぃぃ!…ウッ…ガチャっ」
 

 

 …はぁ、逆効果だったわ。
 筋金入りの変態さんだわ。
 あのパリの近所の中年オヤジだわね。
 あの荒い息で分かったわ。
 でも国際電話でイタズラ電話って!
 電話代スゴク高いじゃない!
 もっと他に使い道はないの?
 どうでもいいけど最後の「ウッ」ってのは何?
 気になるわね…

 
 
 それはそうとさ、あんまり大きな声で言えないんだけどさ、ワタシ、香港に来る前に子供をスポーンと生んだの。
 勿論、秘密で。
 夫のジャンはこの事を知らないし夫の子供ではないの。
 父親は誰かって?
 んなもん知るわけないわよ!
 だってワタシはエマニエル夫人だもん。
 

 しかしホンコンは暇でさあ、なーんもする事がないわねえ。
 夫と香港で初めて愛し合った時はスゴかったわよ!
 今、思い出しても顔がニャーってなるもん。
 「さあエマニエル、おいで!」
 「ジャン、65日ぶりよ!」
 二人してまるで真夏のカブト虫、さかりのついた猫のように、エレガントにそして激しく愛し合い、やがて二人の姿は燃えるシルエットに、そしてあの愛の調べが聴こえてきたの…
 ボインわぁぁおとうちゃんの為にあるんやないんやでぇぇ
 おおきいのがボインでぇぇ
 ちいさいのがぁぁコインやでぇぇ
 ないのがぁぁ ナインやでぇぇぇ…

 

 いゃーん!誰?
 スカートのストライク・ゾーンにタケダのプラッシーをこぼしたのは!
 ある日、ワタシは夫の友人のクリストファー君と香港の街へ行ったの。
 このクリストファー君、ワタシより年下でスンゴイ男前なの!
 もうエマニエル夫人の名にかけて誘惑してやる!って意気込んで怪しい針を打ちながら裸でもだえて誘惑してんのに彼ったらなーんにも反応しないの!
 …つまんねえ…あきちゃった…

 
 

 

 もうパリへ帰ろっかな?って時に大富豪のパーティでアンナ・マリアって可愛い女のコと知りあったの。
 歳は16歳でスンゴイ可愛いの。
 まるでバンビのようなアイドルみたい。
 話すとキャッキャッと愛らしく笑い、ワタシ達はすぐに仲よしになったの。
 後日、二人でカフェ・オレを飲みながら彼女の悩みを聞いてあげたのね。
 そしたら彼女のカレシが最低でさ、しかもアンナ・マリアは未だヴァージンっていうじゃぁあーりませんか!
 Virgineですよ!
 生娘ですぜ!
 処女ですよ、おとうちゃん。

 
 アンナ・マリアの悩みにワタシは
 「おねーさんにまかしなさい。アンナ、オトコなんてのはねえ…カラダを許したら…いい、ゼッタイに…」
 とアタシの愛のレッスンをしてやったの。
 そしてワタシ達、夫婦と一緒にバリ島にヴァカンスに行きましょうと誘ってやったのね。
 …見事に引っかかりやがった…
 バリから無事に帰れるわけがないじゃろうが…
 もうバンビとは言わせない…
 
 

 バリ島での3人はもうそれは強化合宿よ!
 観光は一切なし!のベッド・ルームでのあらゆる夜の寝技のレッスン!
 「いい、アンナ・マリア!手を遊ばせていちゃダメなの!お口もこうしてね!」
 「ハイ!先生!」
 「ダメだって!足はこう絡めてね!何度、言ったら分かるの?」
 「ハイ!ガンバリます!」
 「そう、オチチをこう擦りつけて!オトコはこうしたら喜ぶの!」
 「さあ夫の手を貴方のに!」
 「おい、エマニエル、ちょっとは手加減を…」
 「ダメ!ダメ!今から鍛えないと!さあ、アンナ・マリア、いくわよ!」
 「先生、もうカンニンしてくださいぃぃぃ」
 「ハイ!弱音を吐かない!もっとオマタをおっぴろげて!え?何?手紙?速達? もうこんな忙しい時に!誰から……?」

 

拝啓 エマニエルさん江
 

突然の手紙を許して下さい。
実はこの間、高校受験の結果が分かりました。
結果は…・見事に…落ちました…受験に失敗しました。
余裕で受かると確信していましたが、世間の風は冷たいものです。
ほとんど勉強せずに毎晩、11PMばっかり観てたのがいけなかったのでしょうか?

ボクは考えました。
お先、真っ暗です。
こんなボクにしたのは全てあなたです。
エマニエルさんが悪いのです。
あなたがボクの前でブラチラ、パンチラを見せるからです。
悩ましい腰つきで市場へ行くからです。
学校の近くでボクをジーっと見詰めながらソフト・クリームをゆっくりと舐めるから悪いのです。
あなたの乳頭がピンク色なのが悪いのです!
あー、全てあなたのせいですよ!
ボクの未来を帰してください!
エマニエルさん、あなたは、ここに声を大にして世間に公表します!!

エマニエルさんは −

笛・ラジオ・スキー 飴・駒・コロッケ

 
近所のもう中学浪人より

 

 世界的な大ヒットとなった『エマニエル夫人』の続編ということで音楽も前作のピエール・バシュレが、続いて…とはならなかったのですよ、おかあちゃん。
 監督も変更となり、フランシス・ジャコベッティが
 「この作品にはメロディが単純で美しい旋律が必要。フランスにはそんな作曲家はミシェル・ルグランフランシス・レイしか、いないのねんのねん。」と提案。
 そしてフランシス・レイが担当することとなりまんした。

 

 ジャコベッティはレイに「あの『ある愛の詩』と同じスタイルで!ピアノとヴァイオリンを使ってよね!」と希望したというじゃありませんか。
 この時期、レイは未だ世界にその名前が通用する大物でありますからギャラは、なんでも分厚い茶封筒の大金が支払われたというらしいです。
 レイはタイトル・バックからエレガントで格調高いピアノを聴かせて前作のフィーリングで聴かせるスタイルと全く違うアプローチ。
 そいで専売特許のエレクトリックな響きもお股をキュンとさせますです。
 さらに甘いジャジーなスタイル、必殺の女体、いや女声のスキャットの甘いバラードでメロメロにしてくれます(ちなみにこのスキャットのおねえちゃんはその後、『ビリティス』('77)も参加しておりました)。

 

 

 よーく聴いてるとレイが書いた曲は4曲程でアレンジのレイの影武者、クリスチャン・ゴーベールの寝技が、ここでも冴え渡っております。
 そして主題歌は、シルヴィア・クリステル自身が歌い、コーラスでレイ自身も参加してまるで女王とそのしもべのような歌も披露しておるのですよ、おとうちゃん。
 前作の音楽を例えるなら香水、このレイの音楽は、高級なランジェリーと言えるのではないでしょうか?おねえちゃん。

 1974年末を魅惑のパンチラで股いで、75年も桃色吐息で売れ咲いた『エマニエル夫人』のサウンドトラック。
 アルバム、シングルと共にレコード・ショップを「買わなきゃイヤン!」のエマニエルの囁きで制覇。
 当事、発売元のワーナー・パイオニアは、『燃えよドラゴン』『エクソシスト』そして『エマニエル夫人』の3大・サウンドトラックで業界の売り上げを独占していた。
 が、新興レーベルの快挙に「キー!許せないざんス!」とシェー!のポーズで怒り狂ったのが、当時「映画音楽のキング!サウンドトラック・エリート・シリーズ」で映画音楽の王様的な存在のキング・レコード。
 そんな時、『続エマニエル夫人』が本国よりも世界最初に日本公開されるという地下情報を場末のキャバレーでキャッチしたキング・レコードは、早速、行動を開始しまんした。
 配給元の日本ヘラルド映画が、今回全ての権利を「誰にも渡しまへん!」で独占。
 つまり音楽、レコード発売権もヘラルドの音楽出版部門のヘラルド・ミュージックが、まるでオチチの鷲掴み状態でした。

 
日本盤LP
仏盤LP
 

 そこでキング・レコードは、「続エマニエル・強奪作戦チーム」を結成。
 連日連夜、ヘラルド映画の重役達を銀座で接待攻撃を開始した。
 「どうか、部長!『続エマニエル』の発売はウチで!」
 「チミぃ、そうは言ってもだねえ。ワーナー・パイオニアさんの付き合いもあるしだねぇ。」
 「イヤっ!部長!そんな冷たいことを!」
 「チミィ、泣き言はイカンよ。」
 「部長!それならウチのカワイイコちゃんとどうですか!この後、ご一緒に!」
 「…チミィ…そんなことは・・ワシには妻が…」
 「部長!どうですか!この山本リンダ似のコは!こっちはキャンディーズのランちゃん似ですよ!え?ガイジンがいいって!じゃウチの一押しのマギー・ミネンコ似のコ…・」
 ってな具合にキング・レコードは、秘密の手を尽くして『続エマニエル』のサウンドトラックの発売権を手にいれたという…(都市伝説ではありますが…)。

 
メキシコ盤LP

 本国フランスよりも先にリリースされたサウンドトラック・アルバムは、キングのセブンシーズ・レーベルより13曲入りでリリース。
 しかも未だアルバムの原盤が不在の為、映画のサウンドトラックのミュージック・テープを未編集のままレコード化した為、曲によってはブツ切れの上、音質がモノラル。
 しかもキング・レコードは、アルバムのみの発売権を獲得。
 シングルはポリドールがリリース。
 しかもこのシングルの2曲は、アルバムよりロング・ヴァージョンと非常にややこしい。
 なーんか若いおねえちゃんの体に溺れたおじさんの顛末、みたいな苦いこの日本盤のふたりでした。

 
英盤LP
日本版シングル
 
 ようやく本国のフランスではWIPレーベルでアルバムがリリースされ、日本盤とは比べ物にならない位、高音質の9曲入りでリリース。
 勿論、それぞれの曲もたっぷり長くてアルバムの構成もよし。
 でも日本盤のみで聴けた曲もあり、これまたややこしい。
 ま、女体の神秘と同じである。
 イギリス、メキシコなど完全ジャケット違いでリリースされており、マニアにはヨダレもの。
 でもあれだけ手を尽くして奪還した日本盤、当初はそれなりに売れていたがその後、失速して1980年に入ると自然に廃盤となりました。
 この時でも前作は未だ健在でしたが。
 時は流れ、1994年にはCDも日本でリリースされ、それがエマニエルの最後のウィンクでしたかね。

 出張中に愛妻を近所のオヤジに寝取られた真面目なサラリーマンのようにワーナー・パイオニアは怒り狂った。
 「なーんでウチに話が来なかったんだ!」と机をドンドン叩いても時、既に遅し。
 続編もガンガン売りまくって銀座にビルをおっ建てて昼間からねえちゃん、はべらかして…のワーナー・パイオニアの甘いエマニエルの夢は、もろくも崩れ去った。

 そこである若い営業担当がサラリと「ほな、ニセモノを出したらどうでっか?」とまるで大衆食堂で親子丼をオーダーするようなトーンで言うじゃあーりませんか!
 「ニセモノって君!そんなモノを出してもだね、消費者がだね…」
 「あー、そんなん気にしたらあきまへん。どうせエマニエルのハダカのジャケでみんな買うよってに。オビんとこにドーンと続・エマニエルなんちゃらかんちゃらでいいんだす!」
 とまるで今度は京都のベテランあきんどのように自信マンマンで言うではないか。

 

 そしてキング・レコードのオリジナル・アルバムに対抗して本家のワーナー・パイオニアが放つ、ニセモノ・アルバムが即、リリースされまんした。
 題して『オリジナル・サウンドトラック・スコア 続エマニエル夫人』だ!
 ジャケットはシルヴィア嬢のチチ揉みのPHOTO。
 このPHOTO、ポスター、チラシ、パンフレットで御馴染みなので食いつきやすいのだ。
 アルバムの内容はキングのアルバムの曲を完全コピーしたもの。
  実はアレンジ、ビル・パウエルで(完璧、ニッポン人の小谷充。その後同じような『ミッドナイト・クロス』もやっている)演奏はワーナー・グランド・オーケストラの完全なニッポンのお米だ!

 

 しかし演奏はオリジナルと全く同じでよーく出来ている。
 一回、聴いただけではニセモノとは分からない!
 でもねえ、歌がさぁ、鹿間ケイっていうハーフのモデル。
 しかもこの歌のコーラスがまったくニッポンのオバちゃんまるだしで笑える!
 しかもご丁寧に日本語ヴァージョンもあるのだ。
 ま、あのスキャットの名曲「バリ島の誘惑」を日本語歌詞で歌うのがとてもいい。
 でもさぁ、こんな日本語曲を入れちゃうとニセモノって分かるのにねえ。
 …これってある意味の照れ隠し…?
 …乙女の恥じらい…?
 …違うよね…。

 
 

 ワーナー・パイオニアのなんちゃってアルバムの後を追うように、いや帰宅途中のOLの後を追うようにリリースされたアルバムが『シルビア・クリステル/エマニエルのすべて』
 『続エマニエル』から7曲、前作から4曲他を演奏するのはアンサンブル・プチとスクリーン・ランド・オーケストラ。
 いつものチープな演奏と思いきや気合の入ったゴージャスな演奏に耳を奪われます!
 しかもシルヴィアのあえぎ声入り!
 秘蔵写真の4枚入り!
 もぉー、スケベな男子の股間を蹴りまくり!
 覆面歌手のスキャットと歌が囁き系の色っぺえこと!

 

 この2枚のアルバムが、強烈すぎて他のカヴァー・ヴァージョンは霞んでしまうが、アンドレ・ポップ、イタリアのいやらしいサックスのジョニー・サックスあたりが名カヴァーかも。
 しかしトドメはコロムビアの『エマニエルの囁き』
 フィリップ・バルーなるいかにも嘘くせえ作曲の場末のキャバレーBGMに乗せてシルヴィア・クリステルのベッド・ルーム盗聴のあえぎ声が満載のとんでもレコード!
 こんなアッハン、イヤン、ウッフンのレコード、アパートでは聴けない!
 あー、気が狂う!

 
 でも当事はDVDもインターネットも存在しない清い時代。
 世の男子はこーんなレコードを四畳半のアパートで…
 オトコって生き物は…
 それが昭和を生き抜く男子の姿…

 「なにぃぃ!宿題忘れたやとぉ?だからオマエんとこのおかあちゃん、『続エマニエル夫人』観に行って行方不明になるねん!このスカタンが!
 「知ってるか?Oんとこな、日曜日にな家族で『ジョーズ』観に行くっていうてなホンマはな『続エマニエル夫人』観たらしいで!
 

 『エマニエル夫人』に明け暮れた1975年も終わり、1976年の1月もとある小学校5年のクラスも元気一杯だった。
 この小柄で豪快な女先生、Tのお陰で。
 しかしT先生のクラスに居ながら、宿題を忘れるなんてまるで大都会の男子高校の朝礼に迷いこんだスケスケの下着姿の女の子のようなデンジャラスな行動であったよ、S君。
 早速、「スカタン!スカタン!」の鉄拳制裁!がS君の顔に見事にヒット。
 でも後の席から「…誰がカータンやねん…」とのツッコミが入るファニーなクラスでもあったけど。

 

 今の常識で考えるととてもこんな小学校は存在しない。
 そんな常識をブチ破る毎日であり、理科かなんかの授業でクラスみんなでNHK教育のテレビを観ていたとき。
 確か「朝に大きくなる、あさがおの研究」の番組だっただろうか。
 TV内の
 「うわー、先生、あさがおって朝早くに大きくなるんだねえ!」
 「そうだねえ、XX君、あさがおってのはねえ・・」
 黒板の前の特等席でTVを観ていたT先生、
 「…おしべとめしべがやな……花粉がびゃっーと飛び散ってやな……朝、大きくなるってやな…
 とブツブツ呟いたかと思うと
 「ちょっとゴメンやっしゃ!先生、トイレ行ってくるわ!あとはテキトーに!」
 …こんなことはもう慣れっこな小学5年生!

 

 そして夏休み前にこのクラスでワンパクな遊びが流行していた。
 それは商店街にあるレコード屋でターゲットにこう言うのだ。
 「なあ、この棚、めくっていってみい。」
 何気なく棚のLPジャケットをめくっていくターゲット。
 ふんふん、『ジョーズ』『燃えよドラゴン』『パピヨン』『スティング』ときてお次はお股おっぴろげの『続エマニエル夫人』が!
 「こいつー、なに触ってんねん!ぎっちょ!!」と叫ぶと店外に駆け出す仕掛け人!!
 「おーい、M君、待ってええな!!」と置き去りのターゲット。
 こんなイタズラに引っかかった者は、次の日、学校でウンコをした行為以上の冷たい視線を浴びるのだった。

 
 特に女子に知れると最悪だ。
 「ねえ、Kさん…」と声をかけても無視され、肩に手が触れるとサッサっとホコリを掃うような仕草をされるのだ!
 …あの頃、僕たちはエマニエルと共に生きていた…