ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです...
あのさぁー、そのさぁー、だからぁさぁー、そいでさぁー、そうじゃぁなくてぇー、んーとさぁー、違うんですぅー…エヘっ、ウフっ、テヘっ…
ウチ、デビーっちゅう可愛い名前の15歳の女子高生やねんけど、「筋金入り」のスケベっ娘やねん! 勉強なんかキライやねん。特に数学がアカンねん。 数字見ただけで全身ジンマシンが出るねん。 自慢やないけど「九九」が言われへんねん。 「ににんがしー」がウチは「ニシンが食いたいなー」になるねん。 「さざんがくー」も「サザンオールスターズは胸騒ぎのエロい腰つき!」 「はっぱ、ろくじゅうーしー」も「ハッパ、ダイナイマイトどんどん!菅原文太!」になるねんで!
毎晩、両親が泣いてんねん。 「何であのコはああなの!うううっ!きっと悪魔がとりついたのよ!」 ウチはリーガンか! でもな両親が馬車馬のように働いてな、ウチをスイスのお嬢様学校の聖クレア女子学院に転校させてくれてん! ウチもな勉学にそろそろ励もかなと思ったけどな、通学初日にな、向かいの男子校のフィブスっちゅう男子にひと目惚れ!してん。
アカンわ、ウチのスケベ心が、また騒ぎ出してん!!
聖クレアは厳しい校則で退屈やけど、ルームメイトが個性的やってん。 爆乳娘のマリールイーズ、老け顔のガビー、ソバカス顔のドイツっ子のジェーン…イタリアン・マフィアの娘ジーナとはすぐに友達になってん。 みんなええとこのご令嬢やけどウチと凄い共通点があるねん。 それは…
みんな頭に虫でも湧いとんか!っちゅうくらいにスケベな事しか考えてないねん。 ホンマに笑うで! ウチとおんなじでみんな勉学なんかうっちゃり!やねん。 みんなチョコの「きのこの山」を見ただけで 「おうっ!この形は!」 授業中も男の先生の裸を妄想してうっとりしてやんねん。 けどな、ウチも含めてみんな…
C体験したことがないねん!!
そこでスケベ大将!であるウチが提案してん。 前の学校ではな「C体験」ってゆうても、みんな「ビタミンCが何か?」っちゅうボケばっかりやけど、コイツらは直ぐに「C体験」を直ぐに実行!って決めた行動派やからね。 ウチの考えで向かいの男子校相手に商売しよ!そいでもってC体験もしよ!って。 お金をもらってヤルことをヤル!っちうゅう作戦やねん!
「ラブ倶楽部」っちゅうことで水辺のボート小屋を「パッション・フラワー・ホテル」と命名してんな。 そんで
A)見るだけなら10フラン B)触るだけなら15フラン C)何でもかんでもなら20フラン
これが料金プランやねん。 で、早速男子相手に商売開始! 「C体験作戦」開始!! この作戦をウチらはこう呼んだ!! 「ダラスの熱い日」、ちゃう!「さらばバルデス」、いや「さらばヴァージン・ZOKKON LOVE・ツイてるね!ノッてるね!作戦(a.k.a. ヤッてるね!イッてるね!)」とな!!
でもな、男子もみんなドーテーやから簡単にはいけへんねん。 お互いキスの仕方も知らんし、男子もどう触っていいかも分からんし。 度胸を注入しようとして酒のんで挑んだマリールイーズは、イザって時に爆睡してもうてん。 ウチも憧れのフィブスとはでけへんかってん。 そう、ウチらは粋がっても心は「恋に恋する乙女」やってん…
そこでウチらは男子を集めて「仮装大会兼ストリップもあるで!大会」を開催して、笑って忘れようとしてん。 みんな踊って楽しく過ごしてる間、ウチはフィブスとうまーく抜け出し、外でこっそりと「C体験」をしてもうてん… 仲間には悪いけどウチが先にゴールや(エンテベの勝利)!
けどな、仮装大会の騒ぎが学校にバレて、ウチだけが退学処分や。 また、ここの学校の校長もオカマでな、 「キーっ!デビー!このスケベ娘が!アンタは悪魔よ!もう消えてちょうだい!退学よ!踏んずけてやるっ!キーっ!」 …また同じ事言われてしもうてん。 でもええねん。 ウチはみんなやフィブスとお別れして新しい世界に旅立つねん。 「天下、とったるで!」って誓ってウチは制服を脱ぎ捨てて旅に出てん!
1971年2月。フランシス・レイは来日コンサートを行い、その模様は後にテレビでも放送された。会場を埋め尽くしたのは何と制服姿の女子中高生であり、フランシス・レイは日本中の女子学生のアイドルだった!!というのはもはや都市伝説である。
1960〜70年代に一躍ブームを巻き起こした彼は、1932年のフランス生まれ。こんなに甘いメロディで人々、いや乙女心を刺激した映画音楽家はその後も居ない。乙女のハート泥棒のレイも70年代までは女子のアイドルだったが、1980年代には『インターナショナル・ベルベット』('78)が『川口浩・探検隊』に使用され、一躍お茶の間の「スペシャル」な男!として男子心も刺激したものである。うっとりとするメロディ・ラインは甘いスィーツのようで聴くだけでとろけてしまいます。
レイはニース音楽院で作曲を学び、卒業後イヴ・モンタンらのシャンソン歌手の伴奏を手がけ、エディット・ピアフに認められ作曲活動を開始します。そして映画音楽にその活動の場を移して『男と女』('66)でブレイク。『白い恋人たち』('68)、『個人教授』('69)、『雨の訪問者』『さらば夏の日』('70)、そして『ある愛の詩』('71)で大活躍。それらのサウンドトラックはアルバム・シングルとも一大ベストセラーとなり、当時誰でも知っているメロディとなるくらいに親しまれたのでございます。
レイが担当した作品は映画も大ヒットとなり、そのネーム・ヴァリューはそれはそれは大きかったのでございます。1971年の来日コンサートで日本中を魅了してからも『狼は天使の匂い』('72)、『続エマ二エル夫人』('75)などの作品を発表、レイのコンピレーション・アルバムも大量にリリースされました。そして1977年、レイの最大のヒット作品となるのが、デーヴィッド・ハミルトン監督の『ビリティス』。この女子高生もののアルバムがフランス、ドイツなどでプラチナ・ディスクとなる位のメガ・ヒットを飛ばします。特に西ドイツでの売れ方は凄まじかったのであります。よって西ドイツ作品であり同じ女子高生ものである『レッスンC』の音楽も担当することになったのでございます。
1970年代の乙女心を唄う、フランシス・レイは永遠ですね!
あーらよっ!と女子高生は午後4時に帰宅後、出前一丁を作ってこのアルバムをBGMに早速友達と長電話にいそしむ。ズルズルと食べるノイズのリズムがフランシス・レイのサウンドと溶け合い、至福の時が今日も始まる!
『ビリティス』で組んだフランシス・レイの影武者、ジャン・ムジーが『ビリティス』同様、シンセサイザーを駆使して聴かせるこの「乙女の吐息」が詰まったサウンドトラック・アルバムは「10代の女子の甘い香り」をパックした18曲!メイン・テーマはライトでちょっぴりコミカルなメロディがデビーの淡いお色気を聴かせてますねえ。これで掴みはオッケイ!ですねえ!
仮装大会の曲は、サンバなどのリズムも聴かせてヴォリューム満点!レイのサウンドトラック・アルバムでこんなにも曲のヴァリエーションが多いのは、『雨の訪問者』以来かも知れません。エレクトリックなアレンジが、時にスタイリッシュでクール。そして甘いメロディと溶け合って、それはそれは耳に心地いい。ハリウッドのコンポーザーでは、こんなサウンドは出せないでしょう。
ただしベルギー盤ジャケットのハダカで悶絶のコは映画とは全く関係ない部外者であります(←参照)。
一体、このコは何処のコなんでしょうか? なんでこのコは片手をオチチにあてもう一つの手はオマタなんでしょうか? …不思議であります。
女子高校生に怖いものはこの世に存在しない。 彼女達は恐れを知らずに生きている。 実は世の中をコントロールしている。 子供でもない。 大人でもない。 時にはか弱い小動物のようでもあり、時には悪魔にも変身する。 一体、彼女らは何者だ? 一人の女子高生ならキュートなドール、あるいは子悪魔であろう。 しかし彼女達が複数になるとそれは狼のような悪魔の集団と化すのである!!
聞いた話だが、とある女子高に若い男の新任の先生が赴任した。 大学を卒業して初めて赴任したのが女子高。 彼はそこそこイケメンであり、スタイルもよく、英語を担当する。 彼は当初、希望に燃えていたという。 女子高の教壇に立つという事で、密かに彼自身もエッフェル塔のようにタワーリングして「自分は女子の憧れになる」という男子ならではの妄想を抱いていた。 しかし、彼は未だこの時点で女子高の恐怖を知らないでいた。 よもや自分が狼の群れに放たれた子羊になるとは夢にも思っていなかったのである!
恐怖は最初の日から始まった。 意外にも高い教壇に立つと約30人の女子達が、好奇の眼で彼をジロジロと品定めをするように見つめる。 自分の名前を黒板に書き、自己紹介をする。 その瞬間、教室中、笑いが溢れた。 「えー、せんせーの声、ちぃーさいで!」 気を取り直してもう一度、自己紹介をする。 「えー、すいません。先生の声はちょっとハスキーなので聞こえにくかったかも知れません。」 「えー、シベリアン・ハスキー?犬か!」 そう、彼はハスキーな声を自分では魅力的だと思っていたが、彼女らには通用しなかった。 そんな声なんか聞いた事もないし魅力的だとは思いもよらないのである。 男のプライドを簡単にジャンクされた彼は、毎日、彼女達の恐怖の洗礼を受けることとなるのである!
もう止められない。 「ねー、せんせーのパンツ、何色?」 「えー?白やて!おもろー!」 と黒板には 「△△せんせーのパンツは白、白、白」 の巨大な落書きが! 「□□君、もっと勉強に身を入れようよ。」 と放課後に注意をすると、今度は泣きそうな潤んだ大きな瞳で 「…だって…せんせい…」 と言われてドキっとする先生。
毎日、 「やめれー!キミ達のおしゃべりはうるさい!!今しっかり勉強せんで将来どうするの?やめれー!!」 と叫ぶも声がかすれて出ない。 すると 「せんせー、カラダ、大丈夫なん?ウチら将来、歌手になるねんけど!」
先生は日々溜まっていく心労が鉛のようになり、食欲も失われていく。 そして 「こんなはずじゃなかった。女子高って…」 と何度も心にリフレインした。 そして彼女達は止まらない暴走機関車のように 「なー、先生、ウチが昨日、体育、休んだん何でか知ってる?」 「か、風邪ですか?」 「もー、違うねん!知ってるくせに!」 「………」 そして秋頃から彼は時々、休むようになる。 決まって休み明けには彼女達は彼に 「せんせーにも特別な日ってあんのんか?」 心労で休んでいるとは知らない無邪気な狼たち!!
そして冬のある日(既にこの頃には「感じる先生」で通るほど、学校中の話題だったという)、年老いた教頭先生がこうアナウンスした。
「えー…この度、△△先生は体調が思わしくなく、当校を退職する事となりました。まことに残念ではありますが…」
…聞いた話ではあるが、女子高は悪魔の巣窟かも知れない。 男の幻想を打ち砕くのである。 信じようとよう、信じまいと…