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Goodfellas House Choose One!

ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです...

Sunburn
主演 ファラ・フォーセット
チャールズ・グローディン
監督   リチャード・C・サラフィアン
音楽   ジョン・キャメロン

主題歌

  グラハム・グールドマン
 もう楽しい夏休みも終わりだってのに、オイラは朝からゴロゴロしちゃたりなんかしたりして、何やってんだろうねーまったく、コノ!
 目覚めと同時にテレビの『夏休み!よい子のアニメ3本立て』を楽しく鑑賞、そんでもってプラッシーの一気飲み!
 お供はカールのカレーがけおにぎりせんべいも食べちゃったりなんかして!
 そんなこんなであっという間にお昼になっちゃったりするわけ。
 こんなんばっかで何やってんだろうねーまったく、ってさっきも言ったっけか。
 毎朝オイラのバディもタワーリング・インフェルノで…いいんでないかい?
 ああ、夏が終わってしまうがな…と、どん兵衛(追悼・山城新吾)を食べていると仕事の依頼の電話が!
 そう、オイラはボンクラ中学生ではない!
 一匹狼の保険調査人、ジェイク・デッカーなのだよ!あさりちゃん!
 

 

 オイラは早速、夏の真っ盛りのリゾート地・メキシコはアカプルコに飛んだ(鞄の中は大量のエロ本とお菓子!)。
 依頼の事件はアカプルコの住人ソーレンの死因の確認。
 事故死か、それとも自殺か?
 もし事故なら保険会社は2週間後に500万ドルの保険金を支払わねばならない。
 それを阻止できれば、オイラには10パーセントの報酬と好きなエロ本100冊、それにボンカレー、ファンタ(ゴールデン・アップルに限る)も1年分をトッピングでもらえちゃったりなんかするわけだからして、俄然頑張っちゃったりなんかするわけ〜!

 
 オイラの作戦は美女を雇って妻に仕立て、アカプルコのソーレン邸付近に滞在して近所の聞き込みをするっちゅう作戦!
 そこでやって来たモデルのいとしのエリー嬢にぶったまげ!
 フワフワのカールのようなブロンドの髪、長身のスタイルにキュートなアニメ・ヴォィスの夏女・ナツコ!
 いや、最高のサマー・ガール、サーファー・ギャルなんだったりするわけ、なーんてまったくいやったらしいんだからこの助平が〜!
 でもちべっとアーパーな天然ボケだったりして、そこがまたカワエエっちゅうかなんちゅうか本中華。
 

 てなわけで、オイラはもうギンギンのガンガンで、早速エリー嬢にキワどいビキニを着せてビーチへ!
 そして自慢のニコンのカメラで彼女を激写!
 様々なポーズをとらせるもオイラはハミチチとハイレグなバミューダ三角地帯にズーム・イン!
 時間も忘れて激写してるとエリーが
 「あの…仕事の方は…」
 と無粋な事を言うので思わずハッとするオイラ!
 「こ、こんな事をやっとる暇はないだわさ!」

 
 

 早速、聞き込みを開始するとやっぱ怪しい!
 この事件には裏があると確信したオイラとエリー。
 どうも地元のヤクザ達と関わりのあったソーレンはヤクザどもに消されたらしい。
 そしてこの事件の黒幕は組織のボス、ゲラという男だと言う事も調べ上げた!

 

 

 ここまで来ればもう後は楽勝!
 今晩はエリーを押し倒しちゃる!と決心して、オイラはワンカップ大関で勇気を貰ってエリーの肩を揉み解し始めたりなんかしちゃたりして!
 そのうち、もうアカン、我慢できん!とエリーのオチチをムンズ!と揉みたおす!
 「なあ、エリー、お、お、おっちゃんはなぁ、おっちゃんはやなぁ!」
 と盛り上がり始めてもエリーは
 「ひー、くすぐったい!ひゃひゃ!わろてまう!どわはは!あっちこっち丁稚よりおもろいがな!」
 と笑い転げて…って色気もヘッタクレも無いんだもの〜!なぜか二人とも関西弁なんだもの〜!

 

 そんなこんなでオイラの捜査はさらに進み、ソーレンの未亡人もこの事件に絡んでいて保険金をだまし取ろうとしてた事も分かった。
 ところが敵もイヌもの、じゃなかったキジもの、そうじゃなくて!さるもの、オイラを消そうとあの手この手で邪魔なんかしてくれちゃったりするわけ。
 でもオイラは追っ手をかわして「あっ!いっ!うっ!えっ!おっ!」と黒幕を倒して、無事事件を解決しちゃったりなんかしてからに!
 って、ホントにこんなので終わりなわけ?いいんでないかい…?

 
 
 結局、無事オイラは報酬を手にしてアカプルコの海でエリーと泳いだわけ。
 無邪気に砂浜を走るエリーの姿を瞼に焼き付けて、オイラはエリーに愛の告白。
 「ねえ、エリー。君ってものは…僕と交際してくんない?」
 「えっ?アタシ、結婚してんだけど!」
 …なんや、この夏も苦い想い出しか残らんがな…
 炭酸の気が抜けたスプライトのようなオイラ。
 …でもオイラの鞄の中には盗んだエリーのビキニの水着があったりなんかして…

 グッバイ、エリー。マイ・サマータイム…


 トロピカルなアカプルコの夏に相応しいスコアを聴かせるのはイギリス人の作曲家、ジョン・キャメロン
 この『サンバーン』はイギリスのヘムデール・フィルムの作品なのでイギリスのアーティストを起用したんですね!
 タイトルバックからアカプルコの朝陽にマッチする、メロウでトロピカルなスコアが気持ちいいっす!
 まるでサマーヴァカンスのビーチで飲むトロピカルドリンクのような気持ちよさ!
 時代がディスコ全盛時代なのでディスコでアレンジしたスコアもいいですね!
 そしてチェイス・シーンに流れる主題歌、そう、この映画の為に作られた『サンバーン』を作詞作曲して自ら歌うのは、これまたイギリスの10ccのメンバー、グラハム・グールドマン!
 てな按配で、さながらブリティッシュが夏のアカプルコを襲撃したりなんかしたりしてちょんちょん!

 

 

 ジョン・キャメロンは『ケス』('69)のスコアを書いた頃から本格的にイギリス映画音楽界に参入。
 『夜をみつめて』('73)、そしてキャメロンの代表作とも言える『ウィークエンド・ラブ』('73)を発表。
 これでジョン・バリーのようにハリウッド作品も担当!するようにはなりましたが、『キャッシュ』('75)、『ダイアン・キートン 可愛い女』('75)など小粒ばかりでした。
 しかも『ウィークエンド・ラブ』のようにサウンドトラックのアルバム・リリースもありませんでした。
 でもイギリスに戻ったキャメロンは『ザ・スタッド』('78)でディスコ・サウンドで彩ったこの作品を大ヒットさせました。
 イギリスでリリースされたサウンドトラック・アルバムは、スーパー・ベストセラーを記録しました。
 当時の若い男女は、『ザ・スタッド』のアルバムを聴きまくったといいます。
 まるでイギリス版の『サタデー・ナイト・フィーバー』のように。
 そして『サンバーン』を経て『クリスタル殺人事件』('80)のような大作も担当しましたが、イマイチ大ブレイクとはいかなかったようです。

 
 でも代表作が少なくても、我々はジョン・キャメロンの名前は決して忘れないでしょう。
 あの夏の想い出と共に、ね!

 Hey, Summer Boys!
 たとえエアコンの無い四畳半でもこの『サンバーン』の2枚のサウンドトラック・アルバムを聴くと『君もビキニ・ギャルが満載のアカプルコ・ビーチに行けるぞ!(行った気分になる!)』のキャッチ・コピーも懐かしい気分になっちゃったりして!

 『サンバーン』は2種類のサウンドトラック・アルバムが存在します。
 すなわちアメリカでリリースされたのは『スコア盤』イギリスでリリースされたのは『ソング盤』であります。
 それぞれレーベルもジャケットも異なり、勿論内容も異なります。
 この2種類の事を「まるでビキニのブラとパンツのよう。どちらも味があり、捨てがたい」と評したのは当時のSummer Boysであります。

 

 アメリカ盤はマイナー・レーベルのARRIVALからリリースされ、ジョン・キャメロンのスコアが7曲主題歌の『サンバーン』の他、劇中で使用された10ccの歌が2曲Heatwaveなどの夏に相応しいナンバーが収録されています。
 これらのナンバーは、キャメロンのスコアと見事に溶け合い、アカプルコの夏をさらに熱くさせています。
 キャメロンのキュートなスコアの『Ellie's Theme』も聴きものですが、エンド・タイトルのディスコ・ヴァージョンが最高に良い!
 ところが作品自体のファイナル・カットではその曲はボツとなり、そこにはウィングスの『With a Little Luck』が流れてました。

 

 うってかわってイギリス盤はRoncoよりリリース。
 ファラ・フォーセットの眩しい水着姿のジャケットに見惚れてしまいます。
 ジャケットに『22 BLAZING DISCO HITS』とクレジットされているように、サマータイムなディスコ・ナンバーの連続です!
 要するにDJもこの一枚でキマリ!なわけですが、実際に映画で使用されているのは22曲中10曲のみ
 主題歌、10cc、キャメロンのスコア1曲などはアメリカ盤と同じですが、他は映画では使用されていないバリー・ホワイトビリー・オーシャングラディス・ナイトハービー・ハンコックジャニス・イアンらのホットなディスコ・ヒットです。
 でも例えインスパイア・アルバムとしてもアカプルコでトロピカル・ドリンクを飲んでる気分にさせてくれます。

 

 日本ではアルバム・リリースが無く、グラハム・グールドマンの主題歌がシングルとしてフィリップスからリリース。
 当時とすればセブンシーズあたりでスコア盤のアルバムがリリースされても良さそうなもんだったんですが、なぜか不思議とリリースされませんでした。

 
 どうしても夏の終わりになると聴きたくなるこの『サンバーン』。
 でも今年の夏は、例年とは違う気分になります。
 そう、ファラを追悼して聴くのです。
 来年の夏からはファラの供養としてきっと又、聴くのでしょう。

 ふと夏の終わりにファラのウェット・スーツ姿を眺めて連想する、夏の終わりを感じさせる夜。
 …母さん、あの夏は何処に行ったんでしょうね…
 あの夏ですよ…

 不思議なんですが、中学の夏の体育といえばプールなんです。
 いえ、プールが不思議という意味では無く「完全に男子と女子が隔離されてしまう事」ですよ。
 小学校では男女仲良くプールで楽しい授業を受けていたのにもかかわらず!です。

 

 中学では真夏なのに男子がグラウンドで砂埃にまみれている間、女子はプール。
 反対に男子がプールの時は、女子が砂埃のグラウンド。
 なぜ、同じ学校で同じクラスなのに体育になると「男女が隔離」されてしまうんでしょうか。
 時々、グラウンドを走りながら、チラチラと女子のプールに目をやると何故か、胸がキュンとしてしまう。
 水しぶきの音の間から女子のキャっキャっとはしゃぐ声を聞くだけで何かこう、体が熱いというか何か言葉では言い表せないような…

 

 そりゃ中3にもなるとクラスには好きな女子が出来ます。
 健全な男子としては、好きな女子と一緒に「夏の体育=プールの授業」を受けたいと考えます。
 でも実際には、一緒にプールの授業を受けると考えるだけで恥ずかしいのですが、どうしても女子のプールの授業を見たいのが、健全な男子の願いでもあり、好きな女子の「紺色に彩られたスクール水着」をひと目見てみたいものなんです。

 そしてある時、偶然にも更衣室からプールに入ろうとした好きな女子と鉢合わせ!という嬉しい偶然が、神様のちょっとした悪戯で実現したのです…

 

 …それはもう、制服姿なら何も思わないのにスクール水着の彼女の姿の眩しさには、ハッキリいって「虫眼鏡で真夏の太陽を見る」という行為と同じくらいの衝撃でした。
 知らぬ間に育っていた胸、急激なカーブのくびれた腰、眩しくて長く伸びた白い足、そして魔のバミューダ三角地帯
 ほんの一瞬で溺れ死にました。

 そして悟りました。痛感しました。

 「こりゃアカンわ。中学にもなると男女混在のプールはいかん。男子全員プールから出れません。

 

 そして月日は流れてファラ・フォーセット、本当のエンジェルとなる。
 あの真夏のプールのようなファラが逝ってしまった。
 あの遠い昔の夏、大勢のBOYSを天国に導いてくれたファラ。

 さようなら、ファラとあの夏。