ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです...
彼の名前はアイヴァン・トラバリアン。 彼はブロードウェイの売れっ子劇作家! だが新作の上演を前にして一部書き直しを要求され、毎日タイプライターに向かって悪戦苦闘、悶絶の日々を送っていた。 妻のグローリアとは再婚だったが、先妻との間の息子はもちろん、彼女の4人の連れ子は皆、血は繋がらなくとも父ちゃんのアイヴァンを心から愛しているいい子供たち!
そんなこんなで、いよいよ明日は舞台の初日。 このまま子供たちと暮らせるか、それとも不幸のドン底か? 劇作家としてのアイヴァン、父ちゃんとしてのアイヴァン…それぞれが待ち受ける評価の行方は! 喝采か挫折か! どーなるよ、おい!
彼の名前はルパート・パプキン。 いい歳こいて年老いた母ちゃんのスネカジリ! 彼はスタンダップコメディアンを目指しているが、全く売れずじまい。 彼はTVの人気コメディアン・ジェリーの熱狂的なファンでもあり、いつの日か彼の様になることを夢見ていた。
次の日からルパートは毎日、ジェリーの元へ押しかけてきたのだ! 何度も警備員とトラブルになってもへこたれないルパート。 しかもジェリーが自分の親友であり、TVのレギュラーを譲ってくれるという妄想をも抱いていた! そして遂に冷たい態度を示し続けたジェリーにルパートは発狂! 何とジェリーを誘拐し、自分が変わりにTVに出させろと脅迫…
1982年のニューヨーク、そしてブロードウェイに相応しいのは誰が何と言おうとデイヴ・グルーシンの音楽がピッタリでしょうが!
『喝采の陰で』のスコアは、グルーシンがお得意の『コンドル』('75)から『出逢い』『ジャスティス』('79)に続くジャズ&フュージョン・スタイルだ。 優しくメロウでキャッチーなメロディをソプラノ・サックス、きらめくキーボードとストリングスが、ニューヨークの洒落た雰囲気をよく表している。
そして主題歌を歌うのはジャズ&フュージョン界の名シンガーのマイケル・フランクス。 作詞は『追憶』('73)、『トッツィー』('82)の名作詞家のアランとマリリン・バーグマン。
ところがこんなに素晴らしいこのスコアは、当時主題歌のシングル盤がワーナーよりアメリカやフランスなどでリリースされただけだった。 しかもアメリカはジャケット・デザインなしと寂しい限り。 ちなみにこの映画、日本では1983年に『マイ・キッド』のタイトルで公開予定だったがお蔵入りしてしまい、ようやく'86年に公開されたが、その際シングル盤のリリースは無いままだった。 '83年当時に公開されていたら絶対日本盤がリリースされていたはずなのに! 結局、このグルーシンの(『トッツィー』とはコインの表裏になる)スコアの素晴らしさを堪能するには2007年まで待たねばならなかったのだ。 しかし、あのVARESE CD CLUBで限定盤CDが遂にリリース。 しかもジョニー・マンデルのリジェクト・スコアもプラスという嬉しいオマケ付き!
でもM・フランクスの歌は権利関係で未収録! 残念!完全盤じゃなかった!
伝説のロック・バンド、ザ・バンドの解散コンサートの映画『ラスト・ワルツ』('76)を監督したスコセッシとザ・バンドのリーダー、ロビー・ロバートソンとの友情が始まった。 ロバートソンはスコセッシの作品、『レイジング・ブル』('80)、『ハスラー2』('86)、『カジノ』('95)、『シャッター・アイランド』('10)などでも音楽監修を担当している。
本作品ではロバートソンのプロデュースでB.B.キング、ヴァン・モリソン、デイヴィッド・サンボーン、ボブ・ジェームズらでニュー・レコーディングを敢行。 そしてプリテンターズ、トーキング・ヘッズ、レイ・チャールズらもサウンドトラックを彩るっている。 これぞ大人のニューヨーク・サウンドだ!
ロバートソンも一曲披露してスコセッシを満足させ、ワーナーからリリースされたアルバムもロバートソンはプロデュース。 当時のロック・マニアに愛されたものだが、なんと未だにCD化されず… おい、忘れ去られているぞ!
ちなみにロバートソンはスコセッシ作品の他、ロック・エイジの監督にも指名を受けてサウンド・トラックを担当している。 代表作はバリー・レヴィンソンの『ジミー・ハリウッド』('94)、オリバー・ストーンの『エニイ・ギブン・サンデー』('99)などだ。
叫ぶか、黙るか。 男たちの戦いの日々。
アル・パチーノは意外にも大の犬好き。 昔から犬を数匹飼い、暇があると犬と戯れる。犬と会話する。 以前、愛犬の一匹が亡くなるとパチーノは何日も泣き暮らし、仕事も出来ない状態だったという。 …マイケル・コルレオーネなのに。
また、パチーノは見かけによらずネガティヴ思考の持ち主。 常に不安感で一杯で自信喪失なんていつものことらしい。 若い時はそんな心をアルコールで誤魔化していたという。 …カリート・ブリガンテなのに。
デ・ニーロには人が何と言おうと曲げられないのが、大の黒人の女性好き。 最初の妻も付き合うガール・フレンドも現在の妻も全部、黒人。 以前ホイットニー・ヒューストンを口説き、最近ではビヨンセを口説いたという… このこだわりこそジェイク・ラモッタである!
そんなこんなのデ・ニーロも数人の子供の良きパパ。 子供達が小さい時は、一緒に仲良く遊び、子供の為の仕事もした。 そんな子供たちのお友達が家に遊びに来ても嫌な顔もせずに子供達のリクエスト通りにお決まりの「You talking to me? えへへへ!」とカマすと子供達は大喜び! そんな子供達にご満悦のデ・ニーロ…。 …うん、ある意味、トラヴィス・ヴィックルだな!
犬猫と酒が、ジャスティスと信じていた―。