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ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです... |
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監督・脚本 |
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町内の大衆食堂の一人息子にして天才GEEK
クエンティン・タランティーノ |
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出演 |
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復讐の金髪女ドラゴン・モデル体形のどすこい母ちゃん
ユマ・サーマン |
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ウィーク・エンダーの『テレビ三面記事』のレポートで知っての通り、アタシ(BRIDE)の「大日本復讐皆殺し行脚」の舞台は、米国に移された。
残りの三人…バド、エル、そして憎きビルをブチ殺してアタシの旅が終わるのだ! |
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テキサスの荒野でアタシは、ビルのトレーラーハウスを真夜中の訪問販売で闇討ち!
しかし安酒場で働いてるボンクラのバドに逆襲されてしまった!
「こんな夜中に訪問販売かよ!このクソ女が!」
バドに向かって
「オマエの口に手を突っ込んで奥歯ガタガタ言わしたろか!」
と暴言を浴びせたかったが、岩塩の弾を打ち込まれて痛みで口が開かない!
バドみたいな腐ったマザーファッカーに侮辱されるのが、あ−!腹立つ!
バドはチビ太に棺桶を持ってこさせてアタシを生き埋めにしやがった!
しかも宿敵のクソアマのエルからの電話に
「これから『おくりびと』の儀式を行います。」と言いやがる!
ビッチ!死んだら化けて出てやる!
ゾンビになってテメーら食い殺してやる!
と心で叫ぶも絶対絶命! |
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三途の川に足を入れかけた瞬間、アタシの脳裏に中国で三千年の秘伝の漢方薬、いや中華三昧、いやパイ・メイ先生のショウ・ブラザース式特訓の記憶が蘇った!
そう、パイ・メイ先生、死んでたまるか!
急にアタシには力が沸いて来て、素手で棺桶をブチ破り、そして土中からゾンビのごとく生還したのだ!
「パイ・メイ先生!守ってくれてありがとう!恩に着ます!」 |
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アタシはフラフラで荒野のストレンジャーのようにさまよい歩き、ようやくバドのトレイラーハウスに辿り着いた。
そこにはエルに仲間割れでぶっ殺されたバドの傍にエルが居た!
こりゃ好都合やんかいさ!
アタシはいきなり問答無用の押し込み強盗仕込のキックをエルの顔面にお見舞いしてやった!
さぁ、これからオンナだけの戦いの始まり!
オトコどもにはとてもじゃないが、見せられないよ! |
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L.「テメー、何しやがる!このクソ女が!」
B(アタシ)「どーよ!ブタ女!」
B.「馬糞が!かかってきな!」
L.「このウンコ野郎!ぶっ殺す!」
殴る!蹴る!引っ叩く!髪を掴んで振り回す!
L.「この垂れパイが!」
B.「アンタは腐れマXコ!」
L.「アンタのアソコは子供、生んでガバガバ!」
B.「アンタの格納庫は日照りで使いもんになんないね!」
L.「うるせー!アンタ、オトコとバンバン!ヤリやがって!メス犬が!このオトコ狂いが!」
B.「アンタみたいにコートにマジックでボタン、ベルトを手書きしてるから結婚できないんだよ!このネクラ女!家で内職でもしてな!」
L.「キーっ!!許せないよ! このユルユルのガバガバ女!ちょっとキレイからって上から目線で生きてきやがって!」
果てしない女二人の戦い!男はドン引き!
L.「その色目でパイ・メイ先生を誘惑しやがって!テメーだけえこひいきかよ!」
B.「何さ!自分の出来が悪いからってアタシのせいにすんじゃないよ!」
L.「知ってたかい?パイ・メイ先生を殺してやったのは、このアタイだってのを!」
B.「先生を?!ゆ、許せない!こん畜生!このクソ女だけは!!!」
大絶叫と共に片目を抉り取られたエルは、ただ狂ったように暴れていたのであった。 |
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アタシは最後の標的、ビルを追ってメキシコに入った。
そこの闇組織の親父にビルの隠れ家を聞き出した。
そしてお得意の真夜中の訪問販売でビル宅を襲撃!
が、そこにはビルのオッサンの傍にアタシの死んだはずの娘が!
なんとビルが育てていたのだ!
驚きの再会もビルはアタシに問いだした。
「なぜ俺の元を去ったのかな?」
…このオッサン、ネチネチと過去を掘り出し、未練たらしく、俺の…だと。
…決まってるやんけ!アンタがうっとうしいからだよ!
…そしてアタシが他の男と結婚した事に嫉妬してアタシを殺そうとした事も認めやがった!
しかも聞きたくもないアメコミの与太話を交えてグダグと話しやがる…
あー、うっとうしい!
だからジメジメオトコは嫌いなのさ…
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アタシはビルのオッサンに決闘を申し込み、パイ・メイ先生直伝の「七年殺し!違った五点掌爆心拳」をお見舞いしてやった!
案の定、ビルのオッサン、五歩歩いて昇天しやがった。
…パイ・メイ先生、終わりました… |
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アタシは娘を抱き寄せて神に感謝した。
生きてて良かった!
これからは娘と一緒に暮らします。
幸せになります。
みんなありがとう。
ザ・ブライド、ベアトリクス、そしてママより愛を込めて。
さようなら。 |
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「あー、オイラんとこ、去年までは麺類・丼物・一式の大衆食堂だったけどさ。今年からは洋食屋になったんだよな!」
とクエンティンが叫ぶように、「VOL.2」では前作の和洋中華なんでもござれの無礼講大宴会とはやや異なり、クエンティンの愛するマカロニ・ウェスタンのテイストをメインにフィーチュアして、さらにイタリア、フランス映画のサウンドトラックも大胆に使用するというクエンティンならではの世界観で染めている。
さらにオリジナル・スコアをTHE RZAが続投して書き下ろし、さらにテキサス生まれのクエンティンの弟分ことロバート・ロドリゲスもスコアを提供している。
ロドリゲスのスコアはまるで1960年代にトリップしたかのようなマカロニ・ウェスタン風味満点でクエンティンを狂喜させた。
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VOL.2ではエンニオ・モリコーネのマカロニ・ウェスタンはもはや特別待遇の如くだ。
オープニングから『さすらいのガンマン』が鳴り響き、モリコーネのマカロニといえばもちろん『荒野の用心棒』はハズせない。
そしてとりわけ『豹/ジャガー』からの数曲が見事な効果を上げている。
特にブライドの棺桶脱出シーンでの絶妙な使い方は、まるでこの作品の為に書かれたかのような錯覚を起す程の見事さだ。
さすがはモリコーネを愛する上に尊敬しているクエンティンの音演出の巧さが光る。 |
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また、前作同様アイザック・ヘイズ、ルイス・バカロフの曲も起用。
さらにマルコム・マクラーレン、シバリーらのヴォーカルも彩りを添え、VOL.2の世界をさらに押し広げている。
特筆すべきはフランス映画の『渚の果てにこの愛を』からまるでマカロニ・ウェスタンそのもの曲を引っ張り出して来たり(ブライドが荒野の陽炎の中を彷徨い歩くシーン)、クエンティン宅のレコード・ラックのラインナップは今回も恐るべし!である。
このVOL.2ではひたすら長いエンド・クレジットの3曲目で再び梶芽衣子の『怨み節』がフルで流れる!
あんたどんだけ梶芽衣子が好きやねん! |
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VOl.2では前作のおもちゃ箱をひっくり返したような騒々しさは無い。
そして作品自体のトーンも全く異なっており、作品自体の雰囲気も、サウンドトラックの音楽もいわば『マカロニ・ウェスタン&ショウ・ブラザース・カンフーのヴァイオレンス・オペラ』なのである! |
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「どうだい!オイラの選曲、バツグンだろ?唸ったろ? アルバム、買ったよな? ウヒャヒャヒャヒャ!」
VOL.1で誰にも止められない暴走機関車の如き選曲で全世界を驚かせ、そして痺れさせたクエンティンのサウンドトラック・アルバム。
「あれは邪道だ!」と叫ぶ古い頭の良識派の声も「スーパークール!」のクエンティンの一声で掻き消された。
しかもハッタリではなく実際にガンガン売れたわけで、まさに『勝てば官軍』である。
権利料の支払いに泣くワインスタイン兄弟の苦労も知らぬ悪ガキ・クエンティンは、VOL.2でもその選曲センスは衰え知らず。
リリースされたサウンドトラック・アルバムは、クエンティン自身のプロデュースでVOL.1同様に自身のレーベル、A BAND APART/MARVERICKからリリース。
この時、マドンナとはもうタメ口話せる位に仲良しとなった。
なんでもマドンナもこのオタクな弟分が、もう愛おしい?らしい… |
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このVOL.2では、クエンティンは昔から敬愛するエンニオ・モリコーネのマカロニ・ウエスタンを作品全体のサウンドトラックの魂として使用。
当時モリコーネが新曲を書くという噂もあったが、昔の既製曲の使用がクエンティンの作品では圧倒的に正しいのである。
巨匠モリコーネも自身の曲の使用に苦言を呈するかと思いきや、その後の印税計算書を見てニンマリしたらしい。 |
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最終的にリリースされたアルバムは15曲プラス秘蔵1曲で構成。
ロドリゲスのオリジナル・スコアやアイザック・ヘイズなどの曲が未収録なのがちと残念ではあったが、アルバムの出来はVOL.1同様、素晴らしいの一語に尽きる。
全世界ほぼ共通ジャケットでの販売だったが日本ではジャケット違いでリリースされた。 |
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また、今回もクエンティンのこだわりとしてアナログLPもリリース。
その後、マニア向けのピクチャー・ディスクのLPもブートレッグとして世に放たれた。
今思えば、VOL.1、2の売れ行きを考えれば未収録をまとめた「MORE」のアルバムがリリースされても良かったのでは?とも思う。
『キル・ビル』の世界に痺れた者、魅力にハマッた者は、そう思うのも当然だろう。
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自分で公式サントラ未収録曲をコレクトし、自身でハンド・メイドした猛者も居るはずだ。
そんなフリークの夢、喉の渇きを癒す…いやそんな生易しいものではなく、憧れのアイドルと一夜を共に出来ること以上の願望を満たしてくれる2枚組のCD SETが、2009年の終わりにリリースされた。
VOL.1&VOL.2の公式アルバム、プラス未収録のほぼ全ての音楽に、THE RZA&ロドリゲスのオリジナル・スコアまで、ほぼ全て網羅したアルバムだ。 |
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そう、2000年代はクエンティンの「キル・ビル」の時代だったと言ってもいいだろう。
この「キル・ビル」こそ俺たちのおもちゃ箱。
人にどんなにけなされても、無視されても構わない。
俺たちはこれから先もずっとこのおもちゃ箱を愛し、聴きまくる。
どんなに年齢を重ねても悪ガキの魂を失わないクエンティンと共に。 |
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ユマ・サーマン(1983年、中学1年)とクエンティン・タランティーノ(1973年、小学4年) |
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お客さん、また、いらしたんですか?
あらあら、こんなに酔っ払っちゃって。
何かあったんですか?
ふんふん、はいはい。
そうですか。よく分かりますよ。
さあ、今夜はもっと飲んでください。
酔ってください。
そして歌ってください。
さあ、今夜もようこそ!昭和ミュージック・ホールに!
どんなに酔ってもあのひとの面影は消えず。
どんなに疲れてもあの想い出が、アタシの心をかき乱す。
これがおんなの哀しさか?
それとも愛したおんながバカなのか。
知らず知らずに愛したあのひとの住所を尋ねるバカなおんな。
そして知ったのはあのひとは、もうこの世には居ないという哀しい現実。
さあ!泣きなさい!飲みなさい!
雨の夜の眠りはとても浅く、腰に手を添えるとあの人の重みと温もりが、かすかに残っている。
そうしておんなの白い指は、知らず知らずに自身の活断層を湖に…とここらへんにして!
さあ!唄っていただきましょう!
梶芽衣子さんで、修羅の花!! (『キル・ビル』裏主題歌)
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死んでいた朝にとむらいの雪が降る
はぐれ犬の遠吠え 下駄の音きしむ
因果なおもさみつめて歩く
闇を抱きしめる 蛇の目の傘一つ
いのちの道を行く女
涙はとうに捨てました |
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ふりむいた川に 遠ざかる旅の灯が
凍てた鶴は動かず ないた雨と風
冷えた水面に ほつれ髪映し
涙さえ見せない 蛇の目の傘一つ
怨みの道を行く女
心はとうに捨てました |
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義理も情も 涙も夢も
昨日も明日も 縁のない言葉
怨みの川に身をゆだね
女はとうに捨てました |
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