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Goodfellas House Choose One!

ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです...

Merry Christmas Mr.Lawrence

主演 ゾエ・ショヴォー
イザベル・メジア
アンヌ・パリロー
シャルロット・ワリオ
監督   ジュスト・ジャカン
音楽
(作詞・作曲)
エリック・スチュワート(10cc)
 パリのカフェ、ル・ブーケの前。一人のパリジェンヌが一人、勝手に喋り倒し始めた!声もかけられてないのに!彼女はパリの暴走機関車!?

 えー、あたすぃー?名前はー、べティどぇーす!パリに住んでるぅー、パリっ娘なんどぇーす!えーとぉー、好きな音楽わぁー、ノーランズにー、シーナ・イーストンとー、アラベスクみたいなー、キャンディ・ポップなの!(聞いてないし!) 好きな映画スターわぁー、ムッシュー・レッドフォードにー、カンペイ・ハザマとー、トシオ・サカタって感じぃー。(おいおい!)

 もっとアタシのことをオシエたげるね!トシわぁーー、15歳でぇー、好きな食べ物わぁー、ベビースター・ラーメン!趣味わねぇー、ディスコで踊るのとぉー、ママチャリでパリを暴走することなの!サドルをキュッと高く上げてシャーっと速く漕ぐと気持ちいーの!あまり夢中で漕ぐからこの前、マルセイユまでいっちゃった!
  え?何でサドルを高くするって?……ヤラしぃー。なんかヘンなこと考えてなぁーい?アタシは15歳よ。
あ、それと友達と長電話も好き。お風呂上りにパンイチでコーヒー牛乳を飲みながらなら朝まで話こんじゃうの。え?パリならカフェ・オレ?そんなのパリっ娘は飲まないの。太田牧場のコーヒー牛乳が好きなの!

 そんでパリではさぁ、公衆電話が少なくて困るのが悩みなの。え?ケータイ?…何それ?
 PC?ぴーしー?…PCBかしら?
 ……CDにDVD?……しーでー、でーぶいでー?ハア??
 今は1980年よ!ハイテクの時代に何、訳がワカメな事を言ってんの。
 え? 切手も貼らず手紙が出せる?ポストもないのに?アナタ、移動ポストさん?
 …もういいわ!

 そうそう、最近アタシねぇ、オチチがスゴイ成長してるの!でもねー、何でウェストとオケツも成長してるのかしら?ポッチャリ体形が、悩みなの!

 ここでパリっ娘らしくパリのエスプリの効いたフランス小話をひとつ。
 「フランスパンは、パリっパリっの硬いのがトレヴィアン!阪急電車は小豆色!!
…どう?

 あ、そうそう、アタシの仲間を紹介するね!アタシのおねえちゃんのスザンヌは16才。繊維工場で働いてるの。アニーは16才で自分でアンティーク・アクセサリーを造って自活してるのね。そしてカトリーヌは17才の女子大生でママンはスッチーって聞いたけど、ナゾが多いの。そんな彼女たちといつもディスコで遊んで、パリ中を暴走してるわけよ!

 …ちなみにGIRLSの中ではアタシが一番若いし、カワイイの。フフフ…今夜もアタシにジェロームが誘惑してきたわ。スケスケのオチチに目が点になってて彼、キュートなの!

 ある日、アタシはジェロームと森でプレミアなひと時を過ごしたの。BGMは、10ccのナンバーが聞こえて最高。ジェロームったら「キミと初めてだ。」って。シャンパンでも飲もうかと思ったけど三ツ矢サイダーとリボン・シトロンでお祝いをしたの。でもしばらくしたらアレが来ないの!そう『お月さまからの使者』が!検査したらビンゴ!ワオ!アタシ、初試合でホームランを打っちゃった!!って喜んでられないわ!15才で子供なんて!しかもジェロームったらもう浮気してんのよ!!

Coda

 
 

 そこでGIRLS軍団がジェロームに早速お礼まいり!アタシの中絶費用もアレコレして調達!!お陰でアタシは無事で済んだ。さすがはGIRLS!!頼りになるわ!!
 でも、カトリーヌが実は女子大生じゃなくて大学の電話交換手ママンは飛行機の清掃員だったってことが分かっちゃったんだけど、そんな事でアタシ達の友情は壊れないの。

 GIRLS再出発を誓って崖の上で語り合うアタシたち。
「アタシたち、明日はどうなるのかしら?」
そしたらカトリーヌったら
 「アタイは明日、試験よ!」
 「オメーはニセ女子大生やんけ!」
とツッこむアタシたち!!

 「どわははは!」と中村玉緒のように笑いころげるアタシたちに爽やかな明日の風が吹き始めていた…

 ホント、ベティの頭の中は、暴走機関車ね。音楽の趣味が悪すぎるわ。あたしはマーク・ボランやロキシー・ミュージック、ブライアン・イーノとかのグラム・ロック、ブリティッシュ・ロックが好き。モチロン、10ccも大好き。メンバーの中でも音楽センスのある、あたし、アニーがこの「ガールズ」のサウンドトラックのお話をするわね。

 

 監督のジュストの過去の作品の音楽は、フランスのシンガーソング・ライターのピエール・バシュレセルジュ・ゲンスブールが担当していたの。最初、ジュストも「セルジュに音楽を頼んだ。」って言ってたから「あー、セルジュかー」と思ってたの。でも違ってよかった。だってセルジュの曲ってジェーン・バーキンが歌う『アポカリップスティック』ってあるんだけど『アポカリプス』と『リップスティック』を足して割って…って「言葉遊びかよ!」と思ってしまうの!あたしは『アポカリプス』って言ったら「カーツ!キルゴア!ウィラード!コッポラ!アポカリプス・ナウ!!」ってシャウトしたくなるの!!それにセルジュの「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ……愛してる、愛してない……」なんて優柔不断すぎるわ!!ハッキリして欲しいのよ!だからフランス人って優柔不断って言われるの。10ccみたいに「アイム・ノット・イン・ラブ。好っきやないねん!」とズバっと言って欲しいわね。Oui。

Forbidden Colors

 だから音楽が10ccのエリックがやるって決まった時、本当にうれしかった。イギリスの1970年代のスーパー・セッション・ミュージシャンで結成されたロック・グループの10cc。あ、何で10ccって言うか知ってる?教えて欲しい?……言えないわ……とても16才の乙女の口からは言えないわ……え?言って欲しい?ホンットにイヤらしいわね。男子のアレがソレなんて口が裂けても言えないわ!!

 

 …話を戻すわね。10ccは架空の映画のアルバム『オリジナル・サウンドトラック』『びっくり電話』『愛ゆえに』などの傑作アルバム、そして1975年の名曲『アイム・ノット・イン・ラブ』があるの。この『ガールズ』でもベティの初体験シーンにこの名曲が流れるの!!映画で『アイム・ノット・イン・ラブ』を使ったのは『ガールズ』が最初なの!2000年にソフィア・コッポラが、『ヴァージン・スーサイズ』で使用したけど遅すぎたわね!ガーリーの女王も台無しだわね!(あと『グッドモーニング・ジャッジ』も流れる!)

Forbidden Colors
 
 『ガールズ』でのエリックは、メンバーのダンカン・マッケイの協力でポップでソフトなロックでパリの青春を聞かせているの。彼のスウィートな歌声もたまらないわ。英語の歌詞だけどこれがカッコいいの。1981年頃からフランス映画も英語の主題歌を使い始めたから『ガールズ』は革命的ね。エリックはディスコ・シーンの曲も書いてるけど、決してブラックなテイストにはならないのが、サスガよね。サウンド・トラック・アルバムは、POLYDORよりフランス、イギリス、オランダ、イタリアそしてジャポンでリリースされたの。2枚、シングル・カットされて、ジャポンだけ『アイム・ノット・イン・ラブ』を「ガールズ・挿入歌」としてリリース。スゴイわ!でもね、未だにCD化されていないの。何、考えてるのよ。エリックの名曲の数々を埋れさせておく気?思わず「おみゃー、たわけか? どえりゃー怒ってまったで!わかってりゃーすか?」って名古屋弁が出てまったで!!あ、知ってる?パリと名古屋は姉妹都市なの。だって名古屋にはメトロもあるんだもん!
 
 

 GIRLSの中で一番のシネマフリーク、ワタクシ、スザンヌが監督のジュストのお話をします。ワタクシ、映画雑誌の『ステュディオ』『カイエ・ドュ・シネマ』をいつも立ち読みする位、シネマ好き。そうね、フィルム・ノワールが好きね。それとクラシックなホラーもね。でも一番好きなのは『明日に向って撃て!』!ポール・ニューマンは最高に好き。あの青い目で見つめられたらもう!だからポールを想っていつもブレンディ・カフェを飲んでるの。ショコラはフルタ・セコイヤ。え?マキシム・ド・パリのショコラ?ル・ナジールのカフェ?パリっ娘はそんなの食べないし行きません。家でまったりするのがパリっ娘。そんなトコへ行ってるのは観光客だけよ。

 

 おっとそんなご当地レポートは置いといてジュストは元々、『Mademoiselle Age Tendre』のアート・ディレクター。そしてファッション・カメラマンとして『リュイ』『エル』『ヴォーグ』『マリ・クレール』で活躍したの。そして1974年、『エマ二エル夫人』で映画監督としてデビュー。主演のシルヴィア・クリステルの美しさとソフト・フォーカスの画面が、動くファッション誌のようで世界中で大ヒットしたのよ。ワタクシもあのシルヴィアが座った椅子に座りたいわねぇ。(ちなみにシルヴィアの実の妹が、1980年代に大阪の心斎橋と道頓堀の間でオランダ・レストランを経営してたのは、都市伝説よ)

Coda

 

Merry Christmas Mr.Lawrence LP UK

 1975年にはコリンヌ・クレリー主演で『O嬢の物語』、コリンヌ同様、ファッション・モデルのデール・ハドンを起用した『マダム・クロード』(77)、『Dernier amant romantique, Le』(78)、そして再びシルヴィアと組んだ『チャタレイ夫人の恋人』(81)や『ゴールド・パピヨン』(83)などがあるわね。

 ジュストのテーマは一貫して「女性」。そう、ジュストは「僕は自分を魅了してやまない女性たちの映画を撮ろう。」と言っていたわ。『ガールズ』では「強い友情と互いのひたむきな愛、様々な出来事を通してその友情が育っていくさまを描いた。」と語っていたのが印象的よね。でもジュスト、何処に消えたのかしら?

 女子大生じゃなくて悪いですか?安い団地に住んでていけませんか?本当に人を好きになった事がないのに。カトリーヌ、17才。今夜もアンニュイに一曲、歌います……

 

 『ガールズ』はフランスでは1980年、5月に公開。ジャポンでは1981年の4月に公開。でも1982年にはテレビ東京系にてテレビ放映されてた。1981年頃ってアイドル映画の全盛期ね。ハリウッドのテータム・オニール、ブルック・シールズ、ダイアン・レインなどが人気だったわ。それにヨーロッパのナスターシャ・キンスキーもね。そんな時なのに『ガールズ』はまるで『グローイング・アップ』シリーズの女子版のような扱いだった。それがヒットしなかった要因かもね。

 

Oshima 01

  1982年になるとパリからソフィー・マルソーが『ラ・ブーム』でデビュー。彼女がジャポンでオレンジ・ジュースのCMに出てる時には、私たちの『ガールズ』は忘れられていた…なんでなの?私はイザベル・アジャーニよりもクールなのに。なんで私は人から愛されないの?何でパリはジャポンからの観光が多いの?ああ、また、歌いたくなってきた……

 

Coda

 ♪歌います……

 とまどいながらも…一目散に駆け抜ける4人の女の子。
涙に傷ついても明日はちゃんと見える。
そしてあなたはいつしか素敵になるのね……

 フランス語で♪歌います…