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Goodfellas House Choose One!

ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです...

トランス 愛の晩餐
主演 マリーナ・スマ
監督 リカルド・セザーニ
音楽 サンジィ
ウォーゾーン 虐殺報道
主演 ジェシカ・ムーア
監督 ジョー・ダマト
音楽 ピエロ・モンタナリ

 ―ある晩、とある街の古びた雑居ビルの地下での出来事―。

 既に終電も近く、人々は帰宅してリラックスしている時間帯。
しかしこのビルの地下には、一人、また、一人と「男」ばかりが、その地下の階段を人目を忍ぶように降りていく。一体、何の為に―?

 「さて、皆様集まりましたね。今夜もお忙しい中、どうもありがとうございます。いやぁ、今夜も高校の先生にお医者様、弁護士様、社長様に…学生の方もいらっしゃいますね!」
この集会の主催者らしき小男が、慣れた口調で嬉しそうに話す。
「今夜も…すンごいフィルムを用意しております!」
というこの男の一言にジュルリと涎をすするような下品な音が、地下室に響く。

 「まず上映の前に伊太利亜の小話をひとつ。というか私の嫁なんですが、豆腐を買いに行くって家を出てから、2年経っても帰って来…」
語り終わらないうちに、満員の野郎どもが主催者のオヤジへ一斉に罵声を浴びせ始めた。客の一人の高校教師がシャウトする。
「おい!我々はそんな下らない話を聞きにここに来てるんじゃないんだ!大金払ってるんだよ!早く上映を始めないか!」
一同「そうだ!」と一斉に頷く。
「…分かりました。上映を始めましょう。今回は、イタリアから直輸入の二本です。字幕はありませんので、私がガイドしていきます。」

 「…しかし皆さん、お好きですねえ……最初は淫乱女歌手のお話です……」

 ローマにドナっちゅうセクシーなロック・シンガーがおったんや。ステージではな、胸を出してドレスのスリットから長い脚を出してな、腰をしならせて踊りながらやなあ、マイクを咥えて歌うんやがな。そやから男どもは鼻血もんよ。子供は観たらアカンのよ。(うぉー!たまんねぇ!)

 

 
 ある日、ドナを取材したいっちゅう、カメラマンのマルコが来たんや。マルコはなかなかのイケメンよ。それでやな、取材の雑誌が評判になってやなぁ、ドナとマルコは急速に接近したんやな。それである夜、マルコの家に行ったドナは、熱いキッスをしたんや!お互いブチゅーとやな、何度もタコのように唇を吸い合うんや!スッゴイで!それで息の荒くなったマルコはな、ドナのオチチを揉み扱き始めたんや!
 
 

 あっちゅう間に黒のブラジャーがよ、外されたんや!瞬きする間もあらへん!思わず「あぁ」と喘ぐドナ!それでマルコは彼女のお腹を撫で廻してやなぁ、遂に赤いスカートをめくり上げたんや!そうするとやな、マルコの前に、ドナの履いてる黒のパンティが飛び込んできたんや!それはものごっつぅ小さくてやな、薄くてやな、秘密の花園を覆う面積の狭いこと!大人の手よりも小さいねんで!赤ちゃんが、グーチョキパーしたくらいの小ささや!それで腰の両脇の紐はやな、見事な蝶々結びや!その紐を素早く解くマルコ!そしてそこには!?

 
 「うぉー!たまんねえ!頼む!今のシーンをもう一度!」
突然社長と思しき初老の男が床を転げ回った!
 

 …それでやな、2人の男女はもう獣のようにベッドの上で「3時間目の体育」の運動をしたんや!!女の喘ぎは叫び声よ。地響きが起こってもその運動は止まらへんのや。こんなに男女の炎がスンゴイとは!それからドナとマルコはな、毎晩、海岸やら部屋からあらゆる場所で「体育祭」よ!海岸での「だんじり祭り」はスンゴイんや!

 でもなあ、運動会は秋だけのようにな、2人の関係には陰りが訪れるんや。ドナのオタクなマネージャーが、2人に嫉妬したんや。それで業界のコネパワーで2人の仲を裂いたんや。落ち込むドナを励ましたんは、やっぱマルコやったんや。しかしある夜、ドナのコンサートのステージでな、マネージャーの怒りの銃弾が、ドナの胸に命中!

 

 「…それでドナは、お星さまになったんや…」

 「ってこれで終わりかい!もっとギッタンバッコンを観たいのだよ我々は!
物足りず思わず叫びだす男たち。

 「分かっております。とっておきは次ですから。その前に私の作ったミートボール・パスタでも食べて、お腹を満たしてそなえて下さい。」
と一同に振舞う主催者。ズルズルと下品に音を立てながらパスタをすすりこむ男たち。

 
 
 さぁ、食欲を満たした所でお次は―

 結婚式まであと11日となった普通の会社員マイケルは、ある日サラっちゅう女の熱い視線を受けたんや。サラはなぁ、ソバージュの髪(古っ!)、彫りの深いフェィスに濃いメイクに真っ赤なルージュ。それでオチチがムチャでかい!歩くだけで上下に揺れるねんで!ムチムチの腰とオケツを全身ボディコン(これも古っ!)で包んだその姿を見るだけでやなぁ、おっちゃんは昇天や!そんなサラにセダクションされたマイケルはな、外でサラとトゥゲザーしてしもうたんや。


 

 

 サラのメロンのようなオチチに吸い付き、そしてマイケルの「きびがらのような男性自身」は、あっという間に「インディアンのトーテムポール」に変身したんや!そしてマグマの噴火を我慢しつつ、マイケルは豊満なサラの肉体を弄び、2人の活火山は、遂に大噴火!それでマイケルはなぁ、清純な婚約者・ヘレンを無視して毎日サラと「火山の粘土遊び」を繰り広げるんや。サラのパンティを引き裂き、電信柱を振り回し、2人は「疲れを知らない子供」のようになぁ、ただひたすら運動を繰り広げるんやった。

 「うぉお!俺も子供のように運動してぇえ!」
と思わず叫ぶ童貞ライクな浪人生。

 サラとマイケルの「愛の遊戯」はとどまるところをしらなんだ。遂にエスカレートしてマイケルが女装してレストランのトイレでプレイしたりもしたんや。マイケルが結婚を「ちゃい」に決めたんはなぁ、式の前日やった。そこでサラはなぁ、遂に自分の正体を明かしたんや!何と彼女は作家で「百人斬り」の本を執筆中、その最後の男がマイケルやったと衝撃の告白をしたんや!報酬を払い、追い払おうとするサラに襲い掛かるマイケル!サラの純白のパンティを剥ぎ取ると「記念にもらっとく!」と叫びながら部屋を出るマイケル!その姿を見ながら「ホンマは…好ッきやねん!」と思わず泣き出すサラやった。そう、彼女は11日のプレイ期間に本気で彼に惚れてしもうたんや。しかし結局マイケルは婚約者と無事結婚したんや。

 
 

 「ホンマに男と女はわからへん。体と心は別物やねんで…」

 「ってこれで終わりかよ!もっと観せろよ!」
「もう一回、サラのオチチを見せてくれ!」
「火山の噴火をスローで見せれ!おかーさーん!
口々に叫ぶ野郎ども。

 「残念ながら今夜はこれで終わりです。もう一度観たい、という気持ちが大切なのです。女体の神秘は奥深いのですよ。さあ、始発が出る時間です。皆様の生活がまた、始まります。今夜の夢はエンドです…また、お越しくださいませ。

 男子の密かな愉しみ。それはエロ映画のサウンドトラック・アルバムのコレクト。それは選ばれし男子の優雅なマスターコース。

 「虜 乱されて」の音楽はサンジィという売れっ子ミュージシャン(らしい)。80年代らしいメロウでポップなフュージョン・サウンドがいい。サックスの音色がセクシーであります。歌はアントネロ・ディフィノザ・クリーチャーズ…知らねえ…。しかしこの手の伊太利亜エロ映画の音楽は嫌でも耳に残る。キチンと泣かせどころとなる愛のバラードもあり、退屈しない。

 

 「イレブン・ナイツ」はピエロ・モンタナリフルヴィヤ・モロという完全無名女性が愛のバラードを歌い、この作品もサックスをフィーチュアした80年代らしいフュージョン。でも全体にチープで歓楽街らしいテイストがご愛嬌。ノン・クレジットの男が野太い声で歌うソングは、たまらなく下品!どんなにお洒落なサウンドを聞かせようとしても空回りなのがまた堪らなく愛らしい。この「イレブン・ナイツ」の音楽は、同じ主演者、スタッフでの「トップ・モデル 魔性の女」('87)にも使われている。

 

 それぞれイタリアのRCAおよびBEATよりアルバムがリリースされた。しかし全く売れていない。特に「イレブン・ナイツ」は、B級映画専門のBEATレーベル始まって以来の最低記録を作った位に売れなかったらしい。こんなアルバムを買うのは変態か?ショップで「おおお!」と興奮しているような者は人間失格なのか?でもこんなアルバムがたまらなくいいのである。

…CD?世界が崩壊しても出ねぇよ!でもそんなの関係ねぇ!

 男子としてこの世に生まれたからには自分の世界観がある。そして自分だけのスクリーンの中の女神も。ええやないか?映画だけの世界の彼女が存在しても。

 「虜 乱されて」のヒロイン、マリーナ・スマはモデル出身らしくスレンダーな女性。伊太利亜人の濃さが薄くていかにも80年代・女子なおひと。作品は他に「白い肌にひそむ罠」('86)、「恋のセックス・ゲーム」('83)、「ブリザード」('99)などがあるが、みんなビデオスルーやんけ!! 気になる現在の消息は?…わかんねえ。あの長い肢体が埋もれているのは大変口惜しい。

 

 ジェシカ・ムーアは小柄ながらお色気ムンムンのアモーレ娘。歩くだけですれ違う男達を視線で殺す女。娼婦のような悪女。ジェシカの肉体に溺れると、即、家庭崩壊ね。彼女無しの夜のなんと孤独なことか。豊満な胸と腰。歩くリーサル・ウェポンのジェシカ。アルバ?あんな子供と一緒にするなよ。ジェシカって言ったら男は、「ムーア!」と叫ばにゃ。彼女は「イレブン・ナイツ」の姉妹編「トップ・モデル 魔性の女」の他、「尼僧白書」('86)、「煉獄アムール」('86)、「ルチオ・フルチの新ゾンゲリア」('90)に出演している。

 

 …そうです。
C級作品ばっかです…
ビデオスルーです…
消息不明です…

 …でもいいんです。
 ジェシカは僕の中で生きているんです…

 こういった作品は1988年から始まった「ジョイパック・ワールド・パッション・シリーズ」で東京は歌舞伎町シネマ、大阪は国名小劇で公開後、他の未公開作品も含めてビデオの世界で続々とリリースされた(「イレブン・ナイツ」は当初からビデオ・スルー)。現在ではこんなジャンルは劇場では観れない。1980年代は未だ天国な時代だったのかも知れない。だって場末館ではあるけれど、マリーナとジェシカに逢えたのだから。

 男は30になっても40になっても老人になっても「永遠の少年」でないといけないし、そうありたいと常に思っている。