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ちょっとしたサウンドトラックとその作品についてのコラムです... |
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フランス。冬のパリ。通りのカフェ。
小さなブティックと行きつけのシネマ・テーク。
甘いグラス・ワインの香り。
いつもの朝のパリ...
そこに虚ろな表情の中年男が、あてどもなくフラフラと歩いていた。
そして叫んだ...
「たわけーっ!!!」
オリは思いっきり叫んだっチ。もう生きる気力も無いっチ。何でオリは今、パリに居るんだっチ?去年まではニューヨークのオリーブ・オイル会社で馬の生首の宅配をしていたのに、今はパリの安宿の支配人だっチ。もうどうなってもいいっチ。
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歩いてたら目の前に若くてコケティッシュなパリジェンヌとすれ違ったっチ。オリは彼女の後をつけたっチ。彼女はアパートの空室に入り、この部屋を借りようかと部屋を眺めていたっチ。オリの姿も眼に入らぬ位に部屋を眺めていたっチ。そこで部屋の電話が鳴り、オリにハっとする彼女!その表情にムラムラしたオリは、野獣のごとく彼女に襲いかかったっチ。必死で抵抗しても無駄だっチ!その愛らしい耳にスピーク・ソフトリーすると観念したのか、ヘナヘナと彼女は崩れたっチ。そして甘い猫の鳴き声のようにこう言ったっチ。
「…おっちゃん…してもよかよ…」
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オリと彼女は二匹の猛獣のごとくに燃えたっチ。そして何も言わずに別れたっチ。後日、どうも彼女の事が忘れられないのでもう一度、あの部屋へ行くと彼女も居たっチ。そこでオリは提案したっチ。
「この部屋を借りてここで二人だけで逢うこと。お互いの名前も私生活も何も言わずに、ただアニマル大戦争だけしよう!」
と提案すると彼女も了解したっチ。そしてベッドを運んでいつも二人で欲望に燃えたっチ。 |
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「ここでは二人に名前はいらないっチ!二人だけが全てだっチ!世の中は間違ってるっチ!シキシマのパンは最高だっチ!」
「…おっちゃん…フランス人じゃなかね…何でフランス語、しゃべらんと?」
「うるさいっチ!」
「おっちゃん、奥さんはおらんと?」
「私的なことは聞くなって言ったっチ!」
「おっちゃんの好きな食べ物はなんね?」
「…エビフリャーっチ…」
「…おっちゃん、今頃、家族がどえりゃーしんぴゃーしとるでよう…」
「う、うるさいっチ!」
「なして怒ると?好かん!」
「わ、悪かったっチ。」 |
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何度も逢う内、オリは彼女の事で頭が一杯になって来たのが分かったっチ。オリの妻はホテルの住人とずっと浮気をしていた上、自殺したっチ。
だからオリは…オリは何かにすがりたいんだっチ…
「おっちゃん、今日は何すると?」
オリは彼女の質問に興奮してキッチンにあった北海道バターを彼女の「菊の門」に塗りたくったっチ。
「な、なんばしよると!」
彼女の悲鳴も無視してオリは、自慢の「ドン・コルレオーネ」を彼女の菊門に突撃させたっチ!
「バ、バ、burn!ケ、ケマダの戦いだっチ!!」
「ぎゃぁぁ!なんね?ぐらぐらこくばい!それが男んすることね!? 信じれん!好かん!死んでよか!!」
…彼女を怒らせてしまったっチ。
実は彼女には婚約者が居てオリとの遊びも終わりにしようとしてたっチ。
ある日、オリは彼女を待ち伏せて
「最後にオリと飲んで踊ってくれっチ!」
と頼んでダンス・ホールに行ったっチ。そこでオリは酔った勢いで自分の過去から全てを彼女に伝え、そして
「オリとずっと居て欲しいっチ!」
と懇願したっチ。
「おっちゃん、もう終わりたい。あたし、結婚するとよ。おっちゃんが知らんだけって」
「お、お前はオリのモノだっチ!」
「もうイヤったい!あたしはモノやなか!」 |
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ダンス・ホールでは皆、タンゴを踊っていたっチ。
「せめてオリと最後のタンゴを踊ってくれっチ!」
勢いで嫌がる彼女をホールに連れ出し、踊ったっチ。
タンゴなんか踊ったことがなかったのでデタラメで踊ったっチ。
そしたらホールのマダムが
「ノン、ノン!もう出てってちょうだい!!下品な踊りは止めてちょうだい!」
と追い出されてしまったっチ。そして彼女は走り出して逃げ出したっチ!
オリは彼女の家まで押しかけたっチ!
「オ、オリは…」
その瞬間、銃声が響いたっチ。そう、オリは彼女に撃たれたっチ。意識がだんだん遠くなるっチ。パリでは死にたくないっチ。せめてシシリーで死にたいっチ… 置いてけぼりはイヤだっチ…放置プレイは止めて欲しいっチ…
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「…おっちゃんなんか、知らんけん…あたしは何も知らんけん…知らんけん…」 |
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冬のパリにこだまするタンゴのリズムとどこかイヤらしいサックスの音色―
そう!これは昭和の商店街・キャバレー・ミュージックったい!監督のベルナルド・ベルトルッチはいつも音楽センスがよかよ。さすがはイタリアのパゾリーニの手ほどきを受けただけはあるったい。『ラスト・タンゴ・イン・パリ』ではタンゴのリズムをベースにメランコリックで張り裂けそうなパフォーマンス、即興のジャズがセクシーなサックスにリードされとう。肉体の心底を刺激して気持ちよかー。 |
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でもこんなん音楽、「昭和のキャバレー・ミュージック」って言うっちゃろ。永遠のシネ・ムジーク?ううん、ぶりばり「昭和・あーかいぶす」ったい!
ラテン・ジャズの名プレイヤーのガトー・バルビエリに音楽を依頼したのは偶然でなか。『革命前夜』('63)でもバルビエリは演奏に参加してたとよ。アルゼンチン出身の彼はローマで俊英ジャズ・トランペッターと出会い、本格的にジャズ・メンになっとう。フライング・ダッチマン・レーベルで「ザ・サード・ワールド 第3世界」「アンダー・ファイアー」をリリースしとう。ばってん、傑作はフリー・インプロヴィゼーションの魅力、ばりうま!の『ラストタンゴ』ったい!当たり前くさ!
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シネマ・スコアはその後、マイケル・ウィナーの『リベンジャー』('79)くらいしかないけん、寂しかねー。『’リベンジャー』のアレンジ・指揮は『地獄のヒーロー』('84)『地獄のコマンド』('85)のジェイ・チャタウェイったい!『ラストタンゴ』のアレンジ・指揮は名ジャズ・アレンジャ-のオリヴァ-・ネルソンったい!
あのダンス・ホールでこげなセクシーなタンゴのテーマが流れたら卒倒っするったい。杉本彩もメロメロとよ。タンゴはベルトルッチの母が好いた音楽ったい。『暗殺の森』('71)でもジョルジュ・ドルリューのタンゴもよかよ。
ベルトルッチはこう音楽に付いて言っとうよー。
「ミーは作曲家たちに映像を見ないで作曲するように依頼してたざんす。そして既成の曲も使用してきたざんす。でもそれは幻想にすぎなかったざんす!『暗殺の森』から映像と音楽の同時性を要求したざんす。ドルリューにムビオラに来てもらい仕事してもらったざんす。『ラストタンゴ』でもバルビエリに映像を観て貰い作曲してもらったざんす。曲だけ聞くと即興に聞こえるけどちゃんと映像に沿ってレコーディングしたざんす。シェー!」
70年代を代表するシネマ・ムジーク、懐かしい味のするっちゃんね! |
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ヌーヴェル・ヴァーグ、シネマ・テーク・フランセーズ、フランス語こそシネマの言葉!…のような小難しい事は、どうでもいいっチ!このサウンドトラック・アルバムは70年代を代表する名盤なのは間違いないっチ。
1973年に11曲入りでリリースされたアルバムは、バルビエリが劇中の断片のようなスコアを再レコーディングしたものだっチ。それぞれ1曲としてのヴォリュームがあるっチ。アルバム用のアレンジがとても素晴らしく、テーマのバラード・ヴァージョンは、アルバムでも最高にいいっチ。こんなにセクシーではっちゃけたスコアは、何十年経過しても色褪せないっチ。アルバム、ラストのジャズ・ワルツで昇天するっチ。
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アルバムは世界中でリリース、特にジャケット違いのフランス初盤がいいっチ。売上もよく、テーマ曲は大量のカヴァー・ヴァージョンを生んだっチ。パリが誇る華麗なる出稼ぎ楽団のポール・モーリアのストリングスで奏でるアレンジを筆頭に、デンデケ・ギターのベンチャーズ、ラテン・ロックのエル・チカーノなどがいいっチ。他のバッタ系カヴァーではシー・バレンツ、ミシェル・クレマン、リチャード・ゴールドなど数え切れないっチ!トドメは A&Mのハーブ・アルパートとティファナ・ブラスだっチ!そしてヴォーカル・ヴァージョンではアンディ・ウィリアムス、ブルー・ノートのマリーナ・ショウの男女シンガーが最高だっチ。特にマリーナのエロティックなヴォーカルには痺れるっチ。1973年の話題曲として当時、知らぬ者はいねえ!曲として大ヒットしたっチ。でも中高生達はこの曲を聞いて鼻血でも出したかも知れないっチ。
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「何か夜になるとかあちゃんととうちゃんが、あの曲を合図に夜の運動会を始めてるでゲス!」
「ううう、このタンゴを聞くと、受験勉強が出来ないよぅ!」
「あのタンゴを聞くだけで大事なトコが熱い!」
…などなど、当時の少年少女はラブ&ピースな時をこの曲と過ごしたらしいっチ!
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そして時は流れて1998年、遂にCDがアメリカ・RYKOレーベルからリリースされたっチ。アルバムの11曲に本当のサウンドトラック・ヴァージョンの断片の28曲を組曲としてプラスしたCDだっチ!静かな話題となりその後は廃盤、しかし現在ではVARESEレーベルにて堂々の現役盤として生きているっチ。もう映画を離れて、「大人」なら持っておくべきアルバムになったっチ!
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パリ。オシャレな女子の憧れの街。 女性の感性を持つ男子の理想の街。
パリのカフェでの恋のお話。 散歩してアンティーク・ショップでお買い物。
シネフィルが集まるシネマテークで映画を愉しみ、夜はアパートで友達や恋人とワインを飲みながら楽しいおしゃべり。
「ねえねえ、ゴダールは『勝手にしやがれ』で終わってるのよねえ。」
「キミは何も分かっちゃいないよね!ゴダールってのはね…」
「ねえ、キミの髪型ってアンナ・カリーナみたいな?」
「わたし、今日はフランス・ギャルよ。」
「ボクたち、朝はカフェ・オ・レ、夜はワイン。シネマはフランス映画が好き。フランス人の考え方、生き方が好き!」
「今年のヴァカンス?モチロン、パリ ! 一緒に行く?」
…コテコテのニッポン人がなんば言いよっとか…
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もうこんな「なんちゃってフランス人」はおらんばい。
フランスに憧れるのはいいけん、ばってん「何でもフランスが最高にオシャレ!」はいかんとよ。
監督のベルナルド・ベルトルッチはイタリア人やけん、フランス人ではなか。
ばってん、「なんちゃってフランス人」からも「オサレ監督」として支持されとう。
なして?
ベルトルッチはホンっとは「ナチュラル・ボーン・スケベ」ったい!
ばってん、そこがいいとよ!ばりうまよ!?
どん作品も高級じゃなかばってん、懐かしい味のするっちゃんね!
憶えとると? |
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『暗殺の森』のドミニック・サンダとステファニア・サンドレッリのレズヴィアン・宝塚・タンゴを!イヤらしかー!スケベったい!
『1900年』('76)の少年のチンチンのアップ、それをびよーん、びよーんと引っ張っとう!
ドナルド・サザーランドが美少年を犯してからくさ、ぶっ殺しとう!
すっぽんぽんのロバート・デニーロとジェラール・ドパルデューの「うまい棒」を『サスペリア』のステファニア・カッシーニが、両手でムンズと掴んでからくさ、超マッハで上下に「イキんしゃい!イキんしゃい!」とシゴいとう!
もう目眩がするばい! |
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極めつけは『ドリーマーズ』('03)!
マイケル・ピットの大きゅうなったチンチンをドアップで見せとう!
エヴァ・グリーンの秘密の部分の『具そのもの』もドアップで見せてるったい!
ほんとにベルトルッチは「ナチュラル・ボーン・スケベ」ったい。
『ラストタンゴ・イン・パリ』ではマーロン・ブランドにエロシーンを「本当にヤって欲しい!」としたっちゃろ。じゃけん、ブランドが言ってるとよ。 |
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「ベルナルドの若造は、オレにマリアとのシーンを本当にヤらせようとした。コイツはアホか?と思ったよ。そこでオレは『そんな事をオレが出来ると思うか?お断りだ!』と言ってやった。それでも『ホントにやって欲しいザンス!』としつこく要求するので、オレは呆れて同席の弁護士に話を代わってもらった。
弁護士のトムはこう言った。落ち着いた声でね。『ミスター・ベルトルッチ。貴方は素晴らしい監督です。でもミスター・ブランドに対してあまりにも失礼ですよ。彼は貴方の映画には出ますが、どうしてもそのシーンをと言うなら貴方は翌朝、カフェ・オレを飲む前にベッドで馬の生首を見ることになりますよ。馬の首に「おはよう」と言えますか?』とね。それであのシーンは 全て演技となったのだ。」 |
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…こげなスケベ監督、おらんたい。
パリって都市が人間をスケベにするのかいな。
いっちょん分からんけんど、『色情日記』('71)『サンドラ・ジュリアン 変態白書』('72)とかパリにはスケベ映画がぶりばりあるったい!
パリはオサレなトコではなか!パリでは踊らんと!そげなことも分からんと!ずっと踊り続けちゃあけん!人生、二度と来んちゃもん!タンゴ、踊らいかんとって!転んでも起き上がって踊り続けるけんね!!
勉強、出来んで何で悪いと!ベルトルッチがしかぶるっチ!いいアルバイトがあるばいと!スケベで何が悪いとや!タンゴに終わりはないとよ!! |
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